利酒師 毛馬 克紀の日本酒だより 2020年4月号

毛馬 克紀 プロフィール

料飲部マネージャー
毛馬 克紀 (Katsunori Kema)

大阪市内のレストランやホテルなどで経験を積む。シニアソムリエを始め、ジュニア・バーテンダー、焼酎利酒師など様々な資格を持ちレストランサービスにおいて精通しているスキルを持つ。2014年に大阪マリオット都ホテル入社。2015年に日本酒 利酒師を取得。


取得資格:シニア ソムリエ / 草月流 師範 / 表千家 茶通箱 / ジュニア バーテンダー / 和食検定 実務レベル2級 / 国家検定資格 料飲サービス士 1級 / テーブルマナー講師 西洋料理 / 日本料理食卓作法講師 /調理師 / 焼酎利酒師 / J.S.A. SAKE DIPLOMA / 酒匠

2020/4/1号

先月号に引き続き、福岡佐賀酒蔵見学レポートと
オススメのお酒を2種類お届けいたします。

若波 純米吟醸
130ml ¥1,300

念願であった“若波”の酒蔵見学のレポートとともにご紹介いたします。
前日は、天吹酒造の後、佐賀市に宿を取り、佐賀酒と佐賀名物を堪能しました。蔵のある大川市に電車が走っていないので佐賀駅前からバスに揺られ約1時間で到着です。福岡県大川市にある大正11年創業の酒蔵。屋号のネーミング“若波”は蔵の傍を流れる筑紫次郎(筑後川)のように「若い波を起こせ」の想いから銘名されたそうです。案内をしてくださったのは今村 嘉一郎氏。いただいた名刺には「代表社員」と書かれていますが、こちらの現蔵元です。すごく優しい方で、私達4人をわざわざバス停まで迎えに来てくれました。

設備に関しては非公開ということで詳しくは紹介できませんが、大変大きく奥行きのある蔵でした。大川市は家具の町で、倉庫業も盛んでどこも大きく造られているそうです。最新の機器や5万本を貯蔵できる冷蔵セラー、温度コントロールするための大型冷蔵装置などが揃っていて、少数チームで品質の高いお酒を造っていることをうかがえました。

若波酒造は、製造責任者である蔵元の姉、今村 友香氏と弟の今村 嘉一郎氏を中心に5名の「チーム若波」で新たな波を起こし、若手酒蔵が醸す新世代の日本酒として注目を集め、人気が高まっています。「味の押し波・余韻の引波」を酒質のコンセプトとして、お酒が主張し過ぎない食事と共に楽しめる食中酒を醸しています。

最後に、酒造りのお忙しい時期に蔵を訪れたにもかかわらず、丁寧にお酒について語っていただいた若波合名会社の今村 嘉一郎さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

こちらのお酒は、“若波”の代表銘柄。地元福岡県産の酒造好適米「山田錦」と「夢一献」を55%まで磨き上げ、軽快ながらもしっかりと旨味を味わえるお酒。白い花や白桃、洋梨を思わす完熟したフルーツのやわらかい香り。生き生きとしたフレッシュな酸がとても印象的で、柑橘の様なほろ苦さが後味に残り心地よい。
蔵元の今村氏はこの日本酒に、「瑞々しい味わいと、きめの細かい溶けていくような余韻」を感じて欲しいと仰っていました。ワイングラスに注ぎ、食事とともに楽しみたいお酒です。白身魚の天婦羅などによく合います。

よく合うメニュー

■ZK
“油目雲丹焼き 生麩の木の芽焼き”
(和食コース「蒼天」
  4月のメニューより焼き物)
“アオリイカとブロッコリーのアーリオオーリオ
レッドキャビア添え”
(洋食コース「Twilight」
  4月のメニューよりオードブル)
など

蔵元名

若波酒造合名会社
(福岡県 大川市)

原料米

山田錦・夢一献

精米歩合

55%

日本酒度

+1

酸度

1.6

ソガ・ペール・エ・フィス ル・サケ・エロティック ヌメロシス
130ml ¥1,300

ワインの様に見えますが、中身はしっかりとした日本酒です。長野県の小布施ワイナリーが畑仕事が出来ない冬の期間だけ造る、オーナー曽我 彰彦氏の趣味的存在のお酒です。趣味といっても、ブドウの栽培・育成から醸造まで一貫して自社で行う、いわゆるドメーヌスタイルを採用する本格派ワイナリーのこだわりが詰まった1本です。“ソガ・ペール・エ・フィス”は自社栽培と契約農家のブドウを用いたワインに使うワイナリーの銘柄です。酒米には長野県産の美山錦のみ使用。タイトルの“ル・サケ・エロティック”には大人の味わい、のようなニュアンスが込められているようです。「ヌメロシス」は秋田の「新政」から分離培養した協会6号酵母使用を意味しています。

香りには和梨をイメージさせる瑞々しい酸が感じられます。ソフトな飲み口で、柔らかい甘みと、生き生きとした酸とのバランスが良く、スッキリとしたのど越しの良いお酒です。洋食スタイルの柑橘を添えるような料理とよく合います。

よく合うメニュー

■ZK
“高知県産の魚塩焼き 鯛利休桜餅見立て”
(和食コース「煌星」
  4月のメニューより旬彩)
“鮮魚のムニエル 蕪のネヴィスキオ 蕗の薹のペースト”
(洋食コース「Seasonal」
  4月のメニューより魚料理)
など

蔵元名

小布施ワイナリー株式会社
(長野県 上高井郡小布施町)

原料米

長野県産 美山錦

精米歩合

59%

土田 生酛仕込
130ml ¥1,400

先日、お世話になっている奈良の田原本町にある酒販店「酒のあべたや」さんにお邪魔してテイスティングをさせていただいた時、グルメ雑誌「danchu」で紹介されていた“土田”のお酒を発見し、飲ませていただいたらメチャクチャ美味しかったので、皆様にも呑んでいただこうと思い今回選びました。

明治40年(1907年)に創業の群馬のお酒です。“譽國光”という関東では有名な銘柄です。現蔵元の土田氏は先代から蔵を引き継いだ後、秋田の新政酒造に修行に行き、普通酒と速醸酛の廃止、オール山廃酛・生酛造りに変更するなど、蔵の大改革を実行。マニアックであっても、熱狂的な日本酒ファンに愛されたい一心で、多麹酛や菩提酛などにも果敢にチャレンジしています。

こちらのお酒は“土田”の代表的銘柄。香りは生酛らしく蒸米やチーズの香りが穏やかに感じます。クリーミーな飲み口で旨味はしっかりと味わえます。程よく落ち着いた酸と、アルコール度数15度と軽めなのでスイスイ飲める美酒です。ひや・ぬる燗でも美味しく頂けます。「長く飲み続けられるお酒を」という蔵元の想いが込められた優しい味わいのお酒です。

よく合うメニュー

■ZK
“清汁仕立て 鯛葛叩き 蓬豆腐 白髪葱 花弁人参”
(和食コース「令彩」
  4月のメニューより椀)
“帆立と菜の花 ボッタルガのタルタルソース”
(洋食コース「Horizon」
  4月のメニューより温前菜)
など

蔵元名

土田酒造株式会社
(群馬県 利根郡川場村)

原料米

群馬県産 飯米

精米歩合

60%

日本酒度

-4

酸度

1.7

  • 表示料金には別途、消費税およびサービス料(10%)を加算させていただきます。