利酒師 毛馬の日本酒だより

毛馬 克紀 プロフィール

57階レストラン「ZK」マネージャー
毛馬 克紀 (Katsunori Kema)

大阪市内のレストランやホテルなどで経験を積む。シニアソムリエを始め、ジュニア・バーテンダー、焼酎利酒師など様々な資格を持ちレストランサービスにおいて精通しているスキルを持つ。2014年に大阪マリオット都ホテル入社。2015年に日本酒 利酒師を取得。


取得資格:シニア ソムリエ / 草月流 師範 / 表千家 茶通箱 / ジュニア バーテンダー / 和食検定 実務レベル2級 / 国家検定資格 料飲サービス士 1級 / テーブルマナー講師 西洋料理 / 日本料理食卓作法講師 /調理師 / 焼酎利酒師 / J.S.A. SAKE DIPLOMA / 酒匠

2019/4/3号

秋田県の酒蔵見学レポート第2弾をご紹介いたします。

“一白水成” 福禄寿酒造株式会社

2日目の酒蔵見学は秋田駅からJR奥羽本線の電車に乗り30分ほど北に進んだところにある五城目町の中心に位置する酒蔵にやって来ました。元禄元年(1688年)に創業し、秋田の美酒“福禄寿”を醸してきた福禄寿酒造です。十六代目蔵主で代表取締役社長の渡邉 康衛氏に蔵の中を案内していただきました。

蔵の中は大変広く、また天井が高く造られています。冷蔵設備が整った仕込み蔵には、純米酒以下を仕込みます。毎年安定した酒質のものを届けたい、そして、ハイスペックな純米大吟醸などの仕込みを常温の蔵で仕込むのは、その年々の気候を酒造りに反映させたい思いからだそうです。渡邉氏自慢の品である、五城目町名産の杉で造られた木製の甑(こしき)は、水分の調節がしやすく、一度に多くの米を蒸すことができ、大変使いやすいそうです。また、渡邊氏が、今、特に取り組んでいることは、町の活性化だそうで、酒米を造っている農家とタッグを組んで五城目町酒米研究会を立ち上げ、一緒に米作りを行っています。五城目町内で良い米を作り、良い酒を造り、町全体が潤うことが重要だと熱く語っておられました。

“ゆきの美人”秋田醸造株式会社

秋田駅から徒歩15分ほどの距離でしかも住宅街。大きなマンションの1階に“ゆきの美人”の酒蔵がありました。代表兼杜氏の小林 忠彦氏にお話を聞くことができました。創業は大正8年で、それまで桶売りを中心に造っていましたが、小林氏が蔵元になった16年前に酒蔵をマンションに建て替え、一階部分に四季醸造が可能な最新鋭の機器をそろえた蔵を設計しました。以来、特定名称酒に限定し、純米酒を中心に醸しています。

営業の佐藤氏に蔵の内部を案内していただきました。ここがマンションの1階にあることを忘れてしまうくらいの光景で、すべての機器が揃っています。コンパクトではありますが、無駄なく効率よく配置された設計です。この蔵には、2つの特徴があります。ひとつ目は、「手造り」ということです。小さなタンク(800~850kg)にゆっくりと手間を掛けてクオリティーの高い酒を造っています。6日に1本を仕込み、6日に1本搾るという工程で行こなっています。また、瓶詰めやラベル張りの作業も手作業で、この日実際に作業されている姿も拝見出来ました。ふたつ目の特徴は、四季醸造です。8月15日から酒造りを始め、翌年7月初旬まで行こなっています。全ての工程において温度管理が可能な最新設備が揃っているから成せる業で、他の蔵が造っていない時期に「搾りたて」を売り出すことが出来るという強みがあります。仕込み中のタンクから出来立てのお酒を汲んでいただき試飲をさせていただきました。鑑評会に出品する純米大吟醸で、とても素晴らしい味でした。

最後に・・・

酒造りのお忙しい時期にわざわざ案内をしていただき、丁寧にお酒について語っていただいた福禄寿酒造の渡邉社長、秋田醸造の小林社長、営業の佐藤さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

一白水成 純米吟醸 美郷錦
130ml 1,600円

“一白水成”は、白いお米と水から成る一番旨い酒、との思いから名付けられました。地元である五城目町酒米研究会が育てたお米「美郷錦」で醸された、春限定のお酒です。

洋梨などのフルーティーな香りが穏やかに感じられます。ジューシーな優しい甘みと程良い酸とのバランスがよく、円やかな米の旨味を楽しめます。

よく合うメニュー

“大海老の酒蒸し敷き菜の花ソース”
(和食のコース「旬彩」
4月のメニューより留め肴)
“伊勢海老の菜の花焼き”
(和食のコース「和献洋彩」
4月のメニューより焼き物)
“ラルドで覆った蛍烏賊と筍のグリル
蛍烏賊のソース”
(洋食のコース「Specialite」
4月のメニューより温前菜)
など

蔵元名

福禄寿酒造株式会社(秋田県 南秋田郡五城目町)

原料米

美郷錦

精米歩合

50%

日本酒度

±0

酸度

1.4

ゆきの美人 完全発酵 純米酒
130ml 1,400円

香りは穏やか。僅かに蒸した米や、完熟果実の香りがあります。非常に軽い飲み口で、程よい酸とシャープな旨味があり、後口には旨味を伴なう余韻が広がり、スーっと消えます。キレもあり、サッパリとした軽快な辛口日本酒です。

よく合うメニュー

“油目と筍の桜葉巻き揚げ”
(和食のコース「旬彩」
4月のメニューより揚げ物)
“薄葛仕立て 筍豆腐
海老そぼろ 若芽 花弁人参”
(和食のコース「絶景」
4月のメニューより椀)
“真鯛と筍のカルパッチョ
イクラ添え”
(洋食のコース「Specialite」
4月のメニューよりオードブル)
など

蔵元名

秋田醸造株式会社(秋田県 秋田市)

原料米

山田錦・秋田酒こまち

精米歩合

60%

日本酒度

+12

酸度

1.8

やまとしずく 純米酒
130ml 1,200円

前号で紹介した“刈穂”と同じ系列の酒蔵、出羽鶴酒造が醸す特約店限定流通の日本酒です。創業時の屋号「ヤマト酒造店」に由来する銘柄名。

香りはほとんど感じませんが、チーズの様なクリーミーさを僅かに感じます。軽やかなアタックで、甘味は抑えられ、調和された酸と旨味のバランスが良いです。洋食・和食どの料理にも合いそうな、キレのある軽快な辛口のお酒です。

よく合うメニュー

“筍豆腐若芽餡掛け生雲丹のせ”
(和食のコース「和献洋彩」
4月のメニューより先付け)
“甘鯛と春野菜の小鍋 薄葛仕立て”
(和食のコース「星雲」
4月のメニューより留め肴)
“真鯛のポワレ 青葱のソース
旨味のコンディメント”
(洋食のコース「Horizon」
4月のメニューより魚料理)
など

蔵元名

出羽鶴酒造株式会社(秋田県 大仙市)

原料米

美山錦

精米歩合

60%

日本酒度

+3

酸度

1.4

ZKでは、利酒師 毛馬がセレクトする“特選 日本酒飲み比べ 三種セット”(各60ml 2,200円)も
週替りでご用意しております。

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