純米大吟醸 三重県産山田錦「志摩」

志摩時間 2022年冬号より

左から塚原和食総料理長、樋口総料理長、高松さん、重藤さん、杉原シェフソムリエ、栗野料理長

伊賀市青山町は周りを山に囲まれ、豊富な水と田園風景が広がる緑豊かな町。3年目を迎えるホテルオリジナル日本酒「志摩」の醸造を担うのは、江戸時代から青山町で酒造りを続ける若戎酒造。酒蔵は京都や奈良と松阪を結ぶ初瀬(はせ)街道にあり、伊勢神宮を目指すおかげ参りが盛んであった江戸から明治時代には宿場町として栄えました。
 

若戎酒造の歴史を語る重藤さん

8代目蔵元の重藤邦子(しげふじくにこ)さんは「参拝者は宿場町から峠を越えて伊勢平野に入り神宮へ向かいました。当時は酒蔵が5軒程あり、造られた酒はすべてこの宿場町で消費されていました。毎晩賑やかだったそうですよ」。蔵の成り立ちは嘉永6年、当時えびす屋という宿を営んでいた重藤家7代目義左衛門(ぎざえもん)が、向かいにあった酒蔵と商売を交換したことが始まり。後に義左衛門は酒の名前となり、1980年代の地酒ブームで三重の銘酒として定着しました。
 

仕込み水を味わう杉原シェフソムリエ

重藤さんから酒の仕込み水で作ったという炭酸水をいただいた皆さん。「膨らみがあり、柔らかな飲み心地の美味しい水ですね」と杉原シェフソムリエ。伊賀地方は恵みの水で育てられる三重ブランドの伊賀米が有名で同じ環境で育つ酒米、三重県産山田錦の産地でもあります。
 

酒造りのこだわりについて話す杜氏の高松さん

杜氏の高松誠吾(たかまつせいご)さんは、邦子さんが社長に就任した年に山形県の酒蔵から若戎酒造に入社。杜氏になってからは全国新酒鑑評会で5年連続金賞を受賞しています。「山形で使う酒米は山形県産酒米が主流で、やや硬くキレのある酒となります。比べて山田錦は柔らかで米の味を感じる豊潤さがありますね」。山田錦は現在は全国最大の生産量で〝酒米の王〟と称されています。昭和11年に兵庫県立農事試験場で開発され、山田錦を使った酒が新酒鑑評会の上位を占めるようになると人気の酒米に。しかし当時山田錦の生産は兵庫県のみだったので全国的に山田錦が不足していました。「本来、山田錦の交配元は三重の在来種の山田穂で、伊勢が原産です。おかげ参りのブームにより参拝者が苗を持ち帰ったことで全国に広まったといわれています(諸説あり)」と邦子さん。そこで三重県で山田錦の生産をしようと、県内の蔵元を取りまとめて行政や農家に掛け合うなど中心的に動いた人物が5代目蔵元である重藤久一さんでした。
若戎酒造は県内で唯一、自社精米を行う酒蔵。「同じ酒米でも年や田んぼで状態が違うので削り具合などを微調整しながら良い酒造りに繋げています」と話す高松さん。そして若戎酒造で昭和51年から平成15年まで杜氏を務め「現代の名工」にも選ばれた中村貢さんが80種の酵母を残していたことに驚いたと話してくれました。「酵母は味の決め手で、若戎酒造では三重県産酵母5種と中村杜氏が残した自社保存酵母から1種を選び使っています。今回醸す「志摩」では中村杜氏の酵母のみを使います。この酵母を使った酒の特徴は際立つ華やかな香りと甘味です」。高松さんが考える杜氏としての役割とは。「酒造りも近代化によりいろんなことが数値化されましたが、それだけではわからないことを極めて行くこと。美味しい酒を造るためにはまだまだ人の手が必要です。毎日違う環境で酒米、酵母、麹菌の能力を如何に活かし切るかが杜氏の仕事だと思います」。日常の様々なシーンで愉しめる日本酒をコンセプトに掲げる若戎酒造。伝統と杜氏のこだわりが詰まった「志摩」にご期待ください。
 
販売開始 2023年2月1日(水)より販売
販売価格 ¥6,000
販売数 450本限定
酒米 三重県産 山田錦100%使用
精米歩合 50%
内容量 720㎖
アルコール分 15度
販売場所 ザ クラシック ショップ、ザ ベイスイート ブティックにてご購入いただけます。
ホテル内各レストランでもボトル・グラスにて販売いたします。

 
伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、表情を少しずつ変えながら、四季折々の味覚や色彩を私たちに届けてくれます。
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。

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