おかげ参りの様子。頭には傘、腰には柄杓。(伊勢古市参宮街道資料館)

「伊勢に行きたい 伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と伊勢音頭に唄われるおかげ参り。江戸時代から明治時代にかけ、多い年で約5百万人が参りました。当時の日本の人口は約3千万人。6人に1人が参るという大変な賑わいです。江戸から徒歩で15日、さらに奈良や京都も巡ると1ヶ月以上の旅になることもあり、まさに一生に一度の大旅行。今回、おかげ参りを熟知する伊勢古市参宮街道資料館の館長、世古富保(とみやす)さんにお話を伺いました。
 

伊勢古市参宮街道資料館にておかげ参りの話をする世古富保さん

 
おかげ参りが流行した背景には〝御師(おんし)〟の存在がありました。御師は全国各地の村に出向き、檀家に神宮の御札や稲作の手順が掲載された伊勢暦を配り伊勢神宮の価値や意義を広めたと言われています。そして全国から檀家が伊勢に来たときには宿や豪華な食事でもてなし、神宮を案内する役割を担っていました。また、各村でおかげ参りのための積立や資金調達を行う仕組みである〝伊勢講〟という組織を作り、村の数名が代表者として神宮を参拝していたそうです。「つまり御師とは現代の旅行業のような存在。伊勢の御師の多くは神宮の禰宜さんで、伊勢には800〜900家の御師の家があったとされています」と世古さん。それ以外にも参拝者が増えたのは村の代表者以外が行う〝抜参り〟があったとされています。「親に内緒で参拝する子や思い立って仕事を休み参る人は抜参りと呼ばれ、10代の若者も多かったそうです。善行だから叱ってはならず無事に帰ったのを喜ばなければいけなかったそうです。各地から訪れる参拝者はどこからきたのか地名が書かれた笠とともに柄杓(ひしゃく)を持っていたそうです。「柄杓」はおかげ参りの目印となり道中で助けやもてなしが得られたとも言われています。

 
当時のおかげ参りのルートである参宮街道は東日本から参る東海道との分岐点、現在の四日市市の日永追分から始まり、松阪市の六軒追分で西日本から参る初瀬街道が合流。そのため松阪の街道には人が溢れていたそうです。松阪の国学者、本居宣長の日記に「これでは町の人は、道を横断することもできない」という記述も残っています。「参宮街道のなかでも、格別に栄えたのがここ古市なんですよ」。外宮から内宮の間にある街道は特別に古市参宮街道と呼ばれた花街。多くの飲食店や旅館が軒を連ねていました。
 

創業200年以上といわる麻吉旅館 国登録有形文化財

そのほとんどが太平洋戦争で焼失した中で「麻吉」という旅館は今もその風情を残しています。「古市は江戸の吉原、京の島原と並ぶ日本三大遊郭としても有名でした。他との違いは神領地にあることで、町が塀で囲われておらず誰でも訪れることができる自由な雰囲気を持っていました」。
 

伊勢音頭恋寝刃の遊女お紺(左)と孫福斎(右)の墓(伊勢古市大林寺)

古市では歌舞伎が盛んで、実際に古市の遊郭で起こった刃傷沙汰をもとにした「伊勢音頭恋寝刃(こいのねたば)」は今でも歌舞伎座や国立劇場でも演じられる定番の演目です。また古市は歌舞伎役者にとっての登竜門であり、ここで成功すれば江戸や大阪でも通用すると言われていました。「当時の日本人で知らない人はいないといわれる女性大道芸人、間の山(あいのやま)お杉お玉が生涯を過ごしたり、125年の歴史を持つ「全国絵画共進会」1等で「鯛の左州(さしゅう)」とも呼ばれる日本画家、中村左州など多くの画家を輩出しています。人が集まる経済都市であり、文化や芸術も発展した、パリやニューヨークの一角のような場所でした」。かつての賑わいの余韻が今も残る古市で時を超える旅の体験を。
 

健康や商売繁盛、一年の無事を「おかげさま」の感謝に込める「おかげ参り」。その象徴とも言える柄杓をご自身用に持ち歩ける「参り柄杓」としてお付けした宿泊プランです。
 

「参り柄杓」は伊勢神宮外宮と同じ「東濃ひのき」を使用し、愛知県の株式会社マル仁が高度な丸枡技術を用いて製作しています。さらに伊勢志摩らしく真珠のチャームをあしらい、世界で唯一の柄杓となりました。枡の柄杓にこだわったのは、枡は古来より神の役割を代行する神聖なものであり、その内側には神の力が宿るとされるからです。また真珠も神と人をつなぐ特別な存在として崇められてきました。
 

ぜひ縁起の良い「参り柄杓」で参拝にお出かけいただき、たくさんの福をお持ち帰りください。
 

販売期間 2022年12月1日(木)より (50室限定)
料金 ザ クラシック  ¥45,500〜
ザ ベイスイート ¥61,500〜
※2名1室ご利用時 1泊朝夕食付
特典 ホテルオリジナル「参り柄杓」(1室1個)
賢島宝生苑 日帰り温泉入浴券 お一人様1枚

 
伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、表情を少しずつ変えながら、四季折々の味覚や色彩を私たちに届けてくれます。
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。

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