真珠のふるさと アコヤ真珠養殖
真珠のふるさと アコヤ真珠養殖
志摩時間 2025年夏号より
その後、真珠産業を中心に発展し、今も真珠養殖が盛んな英虞湾(あごわん)は「真珠のふるさと」として親しまれています。英虞湾で生産されるアコヤ真珠は、光沢や色合いの美しさから海外での評価も高く、日本が世界に誇るジュエリーのひとつです。
志摩市大王町(だいおうちょう)にある田辺真珠は、少子高齢化による養殖業者の減少や海の環境の変化により、縮小傾向にある伊勢志摩の真珠文化を次世代に繋ぐため2007年から生産、加工、販売まで行う第6次産業化を展開。
また、安定的に生産するため養殖時に使うオゾン発生装置も世界に先駆けて開発しました。今もその技術を惜しむことなく国内外の真珠養殖業者に伝授しています。
今ではアジアや中東にも生産者や研究者の仲間がおり、志摩と世界を行き来しながら英虞湾で日々、真珠と向き合っています。
今回、技術イノベーションや第6次産業化を手掛けた3代目社長の田辺伴一(たなべ ともかず)さん、妻の美和さんを訪ねました。そこには苦難をともに乗り越えてきた夫婦の明るい笑顔がありました。
生産者の経験と、豊かな英虞湾とが育むアコヤ真珠。
田辺真珠では年間で約30万枚のアコヤ貝を養殖し真珠を生産。
「海水温の影響で稚貝が大量死することもあり安定しない事業ですが、美しいアコヤ真珠が育ったときは本当に嬉しいですね」と話す伴一さんに、真珠の養殖過程を教えてもらいました。
胡麻粒ほどの稚貝を1〜2年程掛けて育て、秋にその中から健康的に育った母貝を選別します。
春になるとオゾン発生装置に入れ、真珠の成長を阻害する卵を排出させたら核入れが始まります。
加工場へ移し、貝殻で作った球体の核と、母貝とは別に育てたピース貝と呼ばれる美しいアコヤ貝の外套膜を小さく切り出したものを、栓で開いた母貝の体内に移植し、真珠層を形成する真珠袋を作ります。
美和さんは「貝は一つひとつ体内の形が違い、作業は繊細。職人ならではの技術です」。核入れをしたアコヤ貝は傷を癒すため波が穏やかな海で養生。
その後、沖の筏に移すと幾重にも真珠層が巻き成長していきます。貝殻にフジツボなどが付着すると餌を搾取するため、2週間に一度は手作業で除去。
12月の後半になると真珠の取り出しが始まり年明けまで続きます。
取り出された真珠は厳しく選別され、ジュエリーとなるのは全体のわずか2〜3%程度。
ホテルステイの愉しみ方
真珠の産地で生産者と過ごす、特別な体験。
志摩観光ホテル宿泊者限定アクティビティ「アコヤ真珠養殖体験」はホテルから車で出発。リアス海岸の森の小道を抜け、風光明媚な英虞湾が広がる田辺真珠養殖場で開催します。
加工場では田辺美和さんに教えてもらいながら、真珠の核入れが体験できます。
美和さんは「外套膜は溶けて核に真珠層を作るので、核入れをするときは外套膜と核が離離れないように」と細部まで教えてくれます。核入れをした貝は英虞湾で養殖してもらい後日、郵送で届きます。また、希望者には貝ごと送ることもできます。
海に浮かぶ養殖筏の作業小屋ではアコヤ貝の清掃や、真珠の取り出しも体験できます。田辺真珠では、実際に養殖し商品となるアコヤ貝を使い、真珠の取り出し体験を行うので、貝を開くまでどんな真珠が入っているかわからないのもリアルな真珠養殖体験の醍醐味。
貝を開くと小さな真円真珠が輝きます。伴一さんは「大当たり、高級ベビーパールです。あー、もったいない(笑)」と冗談と笑い声が海辺に響きます。
核入れ、取出し体験だけでなく、生産者のお話を聞きながら養殖現場を見学するコースもご用意。
真珠のふるさと、英虞湾の真珠養殖場で過ごした時間は、忘れられない伊勢志摩の想い出として、いつまでも輝き続けます。
宿泊者限定アクティビティ「アコヤ養殖真珠体験」
| 申込み | 要予約(宿泊予約またはフロントスタッフまで) |
|---|---|
| 開催日時 | ホテルホームページ内「アクティビティ」にてご案内します。 |
志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」
伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、表情を少しずつ変えながら、四季折々の味覚や色彩を私たちに届けてくれます。
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。