内瀬柑橘物語〈vol.2〉

内瀬の柑橘で志摩半島の物語を紡ぐ

志摩時間 2020年春号より

ホテルから車で約25分の場所にある南伊勢町はリアス海岸沿いにあり、鰯や鯖のまき網漁などが盛んな地域で、また県内外で知名度が高い「マルゴみかん」など柑橘類の栽培も盛んです。温暖な気候で海に迫る山々の段々畑には、色鮮やかな柑橘の風景が広がります。今回は、伊勢志摩のブランド柑橘を育てる南伊勢町内瀬地区の「アサヒ農園」を訪ねました。ここで作られる柑橘を料理に使っている樋口総料理長は年間を通して畑に通っています。そこには生産者と料理人が想いで繋がるパートナーシップがありました。

樋口宏江 総料理長の料理ストーリー

フレンチレストラン「ラ・メール」の4月からのコース「デギュスタシオン」では内瀬の柑橘をフレンチに活かしてみました。

「伊勢海老のソテー」柑橘と人参のソース 

「伊勢海老のソテー」柑橘と人参のソース

伊勢海老の身を軽やかに美味しく、そして春らしく表現しました。ソースは柑橘、人参、少量のバターのみで仕上げています。使用したのは完熟前の「はるみ」で、煮詰めると華やかな香りが出ます。人参はセリ科特有の香気が控え目なフランス原種のキャロット・ナンテーズを使い甘味をプラス。伊勢海老は加熱し過ぎると身が固くなるので、まず生きた状態から1分ボイル。その後、半分に割りオリーブオイルを掛けながらサラマンダーで程よい食感まで火を通します。伊勢海老の上品な味には酸味や甘味を含んだソースがとても良く合います。鮮やかなオレンジ色のソースは伊勢海老の赤に合わせ、腹子を散りばめることで、華やかな春の一品になりました。

伊勢志摩ジビエ「大地の恵み」

伊勢志摩ジビエ「大地の恵み」

「大地の恵み」は、伊勢志摩の森をイメージしました。使ったのは伊勢志摩ジビエの鹿肉。新芽を食べる香りが良い夏鹿です。脂身のほとんどない鹿肉には、豚の背脂を混ぜてミンチにします。それを味と香りが濃厚な原木椎茸の傘の内側に詰め、伊勢志摩備長炭で焼き上げると遠赤外線効果で外はパリっと中はジューシーに。炭に落ちた脂は肉に香ばしさをまとわせます。味付けはシンプルに塩と胡椒だけです。内瀬で作られるまだ青い温州みかんに尾鷲の唐辛子「虎の尾」を合わせて作った「みかん胡椒」を付けて。青いみかんの爽やかな風味が鹿肉の力強い味に程よい酸味として調和します。
四季折々の柑橘を知ることで生まれたメニューです。

<デギュスタシオンコースでお愉しみいただきます>
2020年4月〜5月 ¥25,100(¥30,371)
※( )の金額は税金・サービス料(10%)が含まれております。

フレンチレストラン「ラ・メール」

ザ ベイスイート5F
ランチ  11:30-14:30(13:00までのご入店/貸切のみ)
ディナー 17:30-22:30(L.O.20:30)

フルーツの美味しさを詰め込んだ「パート・ド・フリュイ」

写真左から不知火、ブラッドオレンジ、せとか

内瀬の柑橘を使った砂糖菓子

内瀬の3種の柑橘を使ったスイーツの誕生です。せとかは上品で繊細、不知火(しらぬい・通称デコポン)は酸味と甘味のバランスが良く、ブラッドオレンジは独特の濃い甘味があります。煮詰めて味を凝縮し、果実の風味をダイレクトに味わえる砂糖菓子になりました。それぞれの柑橘の皮を削って加えることで、香りの個性がさらに引き立ちます。収穫の時期だけにしか作ることのできない、果汁100%のフレッシュな味わい。内瀬の柑橘畑を感じさせる樋口総料理長の期間限定スイーツです。

パート・ド・フリュイ(12個入)

¥1,500
2020年3月よりザ クラシック1階 ショップにて販売
※柑橘の種類は季節により変わります
※料金には消費税が含まれております。

総料理長 樋口 宏江

1991年志摩観光ホテルに入社。2008年ベイスイート開業とともにフレンチレストラン「ラ・メール」のシェフとなる。2014年に志摩観光ホテル総料理長に就任、2016年伊勢志摩サミットでワーキングディナーを担当。2017年に農林水産省料理人顕彰制度、料理マスターズブロンズ賞に女性初、三重県初の受賞。

取材日

2019年12月

志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」

伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、表情を少しずつ変えながら、四季折々の味覚や色彩を私たちに届けてくれます。
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。